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善野世裏
「だってさ、君なら信じる?」善野世裏
「道を歩いていたら、突然鏡の中の世界に入っていた、なんてさ」赤噛未白
「それは……」善野世裏
「ね? だから、ここであったことは、ここにいる俺と白雪ちゃんだけの秘密ってこと」赤噛未白
「……どうして、私しか覚えていないんですか」善野世裏
「たぶん、ここに来られるのが、白雪ちゃんだけだからじゃない?」善野世裏
「世裏本人はここには来られないでしょ?」赤噛未白
「でも、あなたも世裏さんなんですよね……?」善野世裏
「一応ね」赤噛未白
(なんか、やっぱり現実の世裏さんと同一人物とは思いにくいな)赤噛未白
「……どうやったら、ここから出られるんですか?」善野世裏
「出る? どうして?」赤噛未白
「どうしてって、現実に戻らないと――」善野世裏
「そんなこと言わないでさ……俺のこと助けてよ、白雪ちゃん」赤噛未白
「え……?」
世裏さんが一歩私に近づく。
思わず立ち上がって逃げようとすると、その前に肩を掴まれた。
そのまま、世裏さんが私の耳に噛みつく。
善野世裏
「――」赤噛未白
「――っ」引き離そうとしても、力が強くてびくともしない。
赤噛未白
(なんで、噛んだりなんか――)赤噛未白
「痛い!世裏さん、やめてください!!」私は、渾身の力を込めて世裏さんの体を突き飛ばした。