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赤噛未白
「あの、王崎さん。傷の手当、私がしてもいいです?」王崎眞記
「もう血も止まってますし、これくらい大丈夫ですよ」赤噛未白
「だめです。手当します」駄々をこねるように手当宣言をした私に王崎さんは目を丸くしていた。
赤噛未白
(これくらい言わないと王崎さん言うこと聞いてくれ無さそうだし……)気恥ずかしさを感じつつ、彼の怪我をしている方の手を取る。
赤噛未白
「と、言っても応急処置ですけど」バッグの中から絆創膏を取り出して、傷口に貼り付ける。
赤噛未白
(王崎さんの手、ほっそりしているけど筋張っていてやっぱり男の人の手なんだなあ)そんな手にマスキングテープで可愛くした絆創膏を貼るのはちょっと軽率だったかもしれない。
王崎眞記
「少し恥ずかしいですね。でも、それ以上にあなたの優しさが感じられて嬉しいです」手の甲の、ラビまん柄の絆創膏を撫でながら王崎さんは微笑んでくれた。
王崎眞記
「あなたに手当してもらえるなら怪我をするのも悪くありませんね」赤噛未白
「王崎さんの手は綺麗なんですからそんなこと言っちゃだめですよ」王崎眞記
「綺麗、ね」王崎眞記
「男に綺麗なんて言ってはいけませんよ。綺麗は女性のための言葉です」じっと見つめられ、言葉に詰まる。
唇の端が少し上がり、その表情は真剣なようにもからかっているようにも見える。
視線を逸らすことが出来ない。
互いの呼吸の音すら聞こえそうな静かな店内。
痛いくらい胸の鼓動が早まっている。
王崎眞記
「……お菓子を用意していたのでした。ちょっと待っていて下さいね」赤噛未白
「は、はい……」先に視線を外したのは王崎さんだった。
軽く頭を下げて、店の奥へと姿を消した。
赤噛未白
(心臓に悪い……)