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混堂優等
「逃げないで」立ち上がろうと腰を浮かせると、足を引かれて再びベンチの上にしりもちをつく。
赤噛未白
「――」混堂先生はおもむろに持ち上げた私の足に口づけると、歯を立てた。
混堂優等
「ん――」赤噛未白
「やめ――痛っ」先生に足を噛まれているという事実に、顔が赤く染まる。
混堂優等
「ふふ、白雪は甘いね。こんなに甘い白雪を誰にも渡したくないな」赤噛未白
「やめてください! 放して!」身をよじると、先生は私の足を掴む手に力を込める。
混堂優等
「でも、放したら君は帰るんでしょ?」赤噛未白
「――っ」混堂優等
「ねえ、白雪、俺を見捨てないでよ。俺には白雪が必要なんだ」
先生はすがりつくように、私の足を抱きしめた。
目の前の先生が本当に自分の知ってる先生なのか、わからなくなってくる。
赤噛未白
「先生、落ち着いて下さい! 何を言ってるかわかってるんですか?」混堂優等
「もちろん。俺は落ち着いてるよ」赤噛未白
「そんな、おかしいです。なんで、急にそんなこと――」混堂優等
「白雪を手に入れれば、俺は救われるんだ」赤噛未白
(だからって、人のことを噛むなんてどうかしてる)先生を拒むべきなのに、頭が混乱して、どうしたらいいかわからなくなる。
混堂優等
「ねえ、俺を助けて、白雪。俺から離れるなんて言わないでよ」赤噛未白
(絶対に変だ。おかしい。混堂先生がこんなこと言うはずない)
目の前のこの人は先生じゃない。
別人だ、そう思うことで段々と落ち着いてくる。
赤噛未白
「――放してください」混堂優等
「……わかった」混堂優等
「でも、必ずまた来るって約束してくれないと放さない」赤噛未白
「約束します! だから――」混堂優等
「約束だよ」
そう言って、混堂先生はやっと私の足を放してくれた。
気が変わる前にと急いで立ち上がる。