GALLERY

心条無月
「お前は表情豊かだな。安堵し、怯え、悩む」心条無月
「俺が持っていないものを、白雪は持っているのかもしれない」心条無月
「お前が持っているものを俺にくれ」
無月さんはおもむろに立ち上がると、私の手を取った。
そのまま引っ張られる。
赤噛未白
「え……?」心条無月
「――」赤噛未白
「!?」
無月さんが私の腕に噛みつく。
あまりのことに、一瞬何をされたのかわからなかった。
歯を立てられ、痛みに我に返る。
赤噛未白
「痛――っ、やめてください、無月さん!」心条無月
「……」赤噛未白
「――」赤噛未白
(無表情で、ガラス玉みたいな目。私のことも映ってないな――怖い)赤噛未白
「嫌、離してください!」
私は渾身の力を込めて、無月さんを突き飛ばした。
かなりの力を入れたのに、無月さんはよろめいただけだ。
心条無月
「白雪がどんな顔をするのか見てみたかっただけだ」赤噛未白
「――っ」赤噛未白
(そんなことで、噛んだりするなんておかしい)無表情のまま私を見つめる無月さんに得体のしれない恐怖を感じ始める。
赤噛未白
「私、帰ります」心条無月
「そうか。気が向けばまた来ればいい」引き留めるわけでもなく、無月さんは道を開けた。