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墨府刺君
「白雪を齧ればわかるかな?」赤噛未白
「……え?」刺君さんは質問には答えずに、突然私の左手を掴んだ。
赤噛未白
「――っつ」赤噛未白
(手を掴まれただけで、静電気みたいな痛みが――)思わず逃げようとすると、刺君さんの手に力がこもる。
墨府刺君
「逃げないでよ」赤噛未白
「すみません、でも――」痛みのことを伝えようとすると、それよりも早く刺君さんが私の手首に口を寄せた。
墨府刺君
「ん――」赤噛未白
「!?」赤噛未白
(齧るって、本気で――!?)
手首に刺君さんが歯を立てる。
その痛みに眉をひそめた。
赤噛未白
「痛――」墨府刺君
「『痛い』?」赤噛未白
「や、やめてください、刺君さん!」手を引こうとしても、刺君さんは掴んだまま離してくれない。
墨府刺君
「俺の手首だと全然おいしくないけど、白雪の手首は柘榴の味がしておいしいね」墨府刺君
「それに、白雪の反応がおもしろいから、余計においしい」赤噛未白
「何言ってるんですか!?」墨府刺君
「何って? 齧った感想」
刺君さんはふざけている風でもなく、至って真面目にそう答えた。
人の手首を噛んだことを悪いとかおかしいとかまったく思ってないようで、怖くなる。
赤噛未白
「刺君さん、おかしいです」赤噛未白
(少し話しただけだったけど、こんな人じゃなかった)