乱暴に、肩に手をかけられて揺さぶられる。
直接傷口に触れるのは避けているものの、
それでもガクガクと揺すられると痛みに悲鳴が
出そうになる。
- フィオナ
- 「やめて……っ!
メヨーヨ、痛いの……!!
やめ……っ!!」
- メヨーヨ
- 「噛まれたんだな!?
狼に、アルルに噛まれたんだな!?
お前も……っ、お前もアルルに……!!」
- フィオナ
- (お前も……?
どういうことなの……?)
痛みに頭がグラグラする。
- メヨーヨ
- 「お前も……!!
お前も自分からアルルに体を差し出したのか……!!
お前もアルルのほうがいいと言うのか……!!」
- フィオナ
- 「落ち着いて……っ、メヨーヨ……っ!?
何のことを、言ってるのか……っ!!」
至近距離から見るメヨーヨは、蒼白で、
その目はすでに私を見てはいなかった。
- フィオナ
- (怖い……っ!!)
- オージェ
- 「兄さん、落ち着いて……!!
大丈夫だから、大丈夫だから……!!」
- メヨーヨ
- 「うるさい、オージェ……!!
お前もわかっているはずだ……!!
また、繰り返すんだ……!!」
- メヨーヨ
- 「また……!!
まただ……!! またなんだ……!!
私はこいつを殺せばいいのか……!?」
- メヨーヨ
- 「どうしてみんなおとなしく私のものにならない!?
私のものにならないから、死ぬハメになる!!
わかっているはずだ!!」
- メヨーヨ
- 「ゾディバに、犯されたかもしれないんだぞ!?」
- フィオナ
- 「な、なんの話を……ッ……!?」
いつの間にか、私の肩を揺さぶっていたはずの
メヨーヨの手は、私の首にかかっていた。
息が、苦しい。
- メヨーヨ
- 「殺す……!!
殺してやるぞ、アルル……!!
アルルゥウウウウウウウウウウウウウ!!」
- フィオナ
- 「あ、……っ、く……!」
意識が白む。
- フィオナ
- (目の前で泣き叫び、暴れているのは誰……?)
メヨーヨ・フォン・ガバルディ。
その人であるはずなのに、私はようやく理解した。
あの白銀の狼。
彼は私に噛み付きたくて、
そうしたのではなかったのだ。
私を通して、メヨーヨにダメージを与えること。
それこそが、彼の目的だったのに違いない。
そしてそれは成功している。
メヨーヨは、こんなにも錯乱しているのだから。
- フィオナ
- (彼とメヨーヨの間に……。
一体何があったの……?)