- アルル
- 「フィオナ……!!」
- フィオナ
- 「は、はい……!?」
ちょうど、アルルの肩に手をかけたところで、
いきなり名前を呼ばれると同時に強く抱きしめられてしまった。
思わず返事だけは返したものの、あまりにも突然に、
しかも力強く引き寄せられたせいで、顔面から
アルルの胸元に突っ込んでしまった。
- フィオナ
- 「アルル……?」
- アルル
- 「…………。」
何がどうしたのかと名前を呼んでみるが、
抱きしめる腕の力が強くなるばかりで、
返事はない。
- フィオナ
- (……寝ぼけているのかしら)
- フィオナ
- 「アルル?
どうしたの?
大丈夫?」
- アルル
- 「…………。」
- フィオナ
- 「アルル?」
- アルル
- 「……すまない。」
- フィオナ
- 「ううん、それはいいんだけれど……。
えっと、その。
離してくれない……?」
- アルル
- 「…………。」
返事は無言。
私の背中を抱く腕が、ちっとも緩まないあたり、
無言の拒絶であるようだ。
- フィオナ
- (うーん……)
一体どうしたのだろう。
悪い夢にうなされていた、
というのは確かなのだろうけれど……。