- フィオナ
- 「え……?」
血を吸わせるつもりで差し出した手の、
手首をぐいとつかまれて引き寄せられた。
- フィオナ
- 「わっ!!」
突然のことに抵抗することもできず、
私はギランに押し倒されてしまった。
- フィオナ
- 「ギラン……!
いきなり何を……っ!」
- ギラン
- 「何って。
ナニ?」
- フィオナ
- 「ん……っ!」
耳元で、わざとらしく呼気をふきかけながらの囁きに
背中をぞくぞくとしたものが這い上がる。
悪戯にしてはやりすぎた。
- フィオナ
- 「ギランってば……!!」
- ギラン
- 「味見してイイって言ったの、テメェだろォ?」
- フィオナ
- 「それは言った、けど……!
これなんか、違う……!」
- ギラン
- 「違わねェよ。」
ギランから逃れようともがくが、
強く抱きしめられて逃げられそうにない。
- フィオナ
- 「ギラン……!!」
- ギラン
- 「味見、さしてくれよ。
……なァ?」
ぞわりとするような低音で囁いて……。
ギランが私の首筋へと顔をうずめる。
- フィオナ
- (まさか……っ)
- フィオナ
- 「ちょっと……!
ギラン! まって、駄目……っ!!」
ここまで来たら、ギランの意図は明確だった。
指先からの味見なんてメじゃない。
彼は直接、私に齧りつくつもりだ。