[Bloody Nightmare] Scenario
右手はメヨーヨと重ね、左手は彼の肩へとそっと添える。
ぐ、とメヨーヨの右手が私の腰を抱く。
- フィオナ
- (わ……っ。これ、結構照れるかも)
ザラやネッソには、よくダンスの練習に付き合ってもらっていたけれど……。
こうして実際に組んでみると、距離の近さに気づかされる。
- メヨーヨ
- 「……行くぞ。」
- フィオナ
- 「うん。」
三拍子のリズムで刻まれるワルツ、
ちょうどいいタイミングにあわせて、
私たちはすぅっと滑り込むようにフロアに出る。
- フィオナ
- (足型間違えたらどうしよう……。メヨーヨの足、踏んじゃったら……!)
優雅に、優雅に、と言い聞かせて
手足を動かしながらも、内心では地味にパニックだ。
- メヨーヨ
- 「なかなか上手いじゃないか。
私はもっと、木偶だと思っていた。」
- フィオナ
- 「……。
それは酷い偏見だわ。」
- メヨーヨ
- 「お前はこれまで、パーティーの類には出たことがなかったはずだろう。」
- フィオナ
- 「そうだけど……。
こういったことは、塔の中で練習していたの。」
- メヨーヨ
- 「ネッソを相手にか?」
- フィオナ
- (……?)
- フィオナ
- 「ええ、まあ。
ネッソに練習相手になってもらうこともあったけど……。」
- メヨーヨ
- 「…………。」
- フィオナ
- 「……っ!」
ぐいっと、メヨーヨの私の腰を抱く腕の力が強くなった。
より強く引き寄せられて、ますます距離が縮む。