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額に汗を滲ませ、ちょっと暑そうに顔を仰いでいる八神さんを見て、これだ、と思いついた。
- 東条ヒバリ
- 「……失礼します」
- 八神那由太
- 「わ……!?」
- 東条ヒバリ
- 「……汗、すごいので。あと、その……、お疲れ様でした……?」
- 八神那由太
- 「ひ、ヒバリさん……」
- 東条ヒバリ
- 「が、頑張ってくれていたようなので、お礼というか、なんというか……」
- 東条ヒバリ
- 「きゃ!?」
- 八神那由太
- 「お、俺……、俺っ、嬉しいです! めちゃくちゃ嬉しいです!!」
- 東条ヒバリ
- 「や、八神さん、落ち着いて……っ」
- 八神那由太
- 「だって! ヒバリさんがこんなふうにやさしくしてくれるなんて!」
- 八神那由太
- 「俺、役に立ててよかったです!走り回ってただけだけど! ほんとにほんとに、嬉しいです!!」
- 東条ヒバリ
- (というか、手、強く握りすぎ……!)
- 東条ヒバリ
- 「……八神さん、よかったらハンカチはそのまま差し上げますから、できれば手を放していただけると――」
ダイレクトによくやったと褒めるのはさすがに憚られたので、無理があると思いつつそんなふうに言ってみる。
すると……
まさかこんなに感激されるとは思わなかった。