- 東条ヒバリ
- 「すごい数のお客さんね……。紬はこの写真家のファンなの?」
- 鹿野紬
- 「そうなんですの。日本で開催すると聞いてから、ずっとここに来たくて……!」
- 東条ヒバリ
- 「ふぅん……」
- 東条ヒバリ
- 「子どもをモデルにしたものばかりなのね」
- 鹿野紬
- 「そうなんですの! ルクレールは幼い子どもを題材にした作品でとても有名なんですわ」
- 鹿野紬
- 「……綺麗、ですわね……」
- 東条ヒバリ
- 「……うん……」
- 東条ヒバリ
- (なんだろう……。初めて見るのにどこか懐かしい)
- 東条ヒバリ
- (美しい、けどそれだけじゃない。……心が満たされるような感覚……)
熱くなっている紬の隣で、私はじっと写真たちを眺めてみる。
見惚れてしまうほどに美しい写真ばかりだったが、それらには共通点がある。
一際目立つ場所に設置されているそれは、今回の展示会でも目玉とされているものなのだろう。
その写真を目にした瞬間、私は声を失ってしまった――。
その中でも印象的だったのは、彼の瞳だった。
こちらのすべてを包み込み、何もかも許してくれるような無垢な瞳から、目が離せない――。