- 東条ヒバリ
- 「……前は、誰と一緒に見たの?」
- 光森壱哉
- 「え?」
- 東条ヒバリ
- 「……誰と、ここに来たの? その人と結婚するつもりだったの?」
- 光森壱哉
- 「……それは……」
- 東条ヒバリ
- 「教えて。あなたが、どんな人とここに来たのか」
- 東条ヒバリ
- 「そのときも、今みたいな…… 私に言ったようなことを言ったの?」
- 光森壱哉
- 「……ヒバリさん」
- 東条ヒバリ
- 「質問に答えて……!」
- 光森壱哉
- 「………………」
- 光森壱哉
- 「初恋は君だよ、って言えたらよかったんだけどね……」
- 東条ヒバリ
- 「…………」
- 光森壱哉
- 「……確かに君と出会う前には、 他の女性と付き合っていたよ。でも、今は違う……」
- 光森壱哉
- 「君を前にしてるのに、他の相手なんか目に入るわけがない。思い出すこともない」
- 光森壱哉
- 「今は本当に、君だけなんだ……」
- 東条ヒバリ
- (ダメ。今流されるのは違う……!)
壱哉さんはしばらく悩んでいたかと思うと、意を決したように私へ向き直った。
私、だけ。
訴えかけるようなその言葉に、一気に頬が熱くなっていく。