- 石動大我
- 「いいんだよ、夢を買ってんだから。そもそもギャンブルで稼いだ金なんて、あぶく銭じゃねえか」
- 東条ヒバリ
- 「でも……1万円が残ったら、自分の財産が増えるじゃない……?」
- 石動大我
- 「なら、その1万で10万の夢を買うのが男のロマンだ。そんで10万よりも100万の夢の方が追いかけ甲斐がある」
- 石動大我
- 「……例えば、勝てばなんでも叶うゲームがあるとしてさ」
- 石動大我
- 「で、その賭け金が自分の命だったら。――お嬢は賭けるか?」
- 東条ヒバリ
- 「……賭けるわけないでしょう」
- 石動大我
- 「だろうな。けど俺は多分賭ける」
- 東条ヒバリ
- 「! そんなの、もし負けたら――」
- 石動大我
- 「死んだら死んだで、運が悪かったで納得するぜ」
大我さん、曰く――。
例えば100円を賭けて、1万円になった。
その1万円を賭けて勝負したら、負けて0になった。
でも自分が損したのは最初の100円だけ。
後の9900円は、ただの夢。
納得できず顔を顰める私に、大我さんは楽しげに笑ってみせる。
答えのわかりきっている問いに、私は少し呆れながらも口を開く。
自分との考え方の違いに、私は思わず絶句する。