オトメイト『スペードの国のアリス ~Wonderful White World~』公式サイト
- クイン=シルバー
- 「本当に、実に堂々たる式辞でしたね。
私はとても感動しましたよ」
- ハンニバル=ゴールド
- 「感動って……大げさだろ」
- クイン=シルバー
- 「いえいえ、そんなことはありません」
- クイン=シルバー
- 「あれはいわば、主催者としての最初の務めであり、見せどころです。
それを失敗することなく終えたのですから、本当によかったじゃありませんか」
- クイン=シルバー
- 「あなたも一安心でしょう、ハンニバル?」
- ハンニバル=ゴールド
- 「あ、ああ……。まあ、最初が肝心だからな。
場の空気を高めるためにもきっちりと……とは思ってたが、失敗ってのはどういうことだ」
- ハンニバル=ゴールド
- 「あんなのは、その場で思い付いたことを適当にしゃべってるだけだぞ。
主催者を務めるのだって初めてじゃない。
毎度のことだからな」
- クイン=シルバー
- 「ああ、そうでしたね。
これはこれは、失礼しました」
- ハンニバル=ゴールド
- 「…………」
- アリス=リデル
- (クイン……明らかに、ハンニバルをいじめて遊んでいるわね)
- クインがハンニバルの本性を知っているのは間違いないだろう。
そのうえで、からかって楽しんでいる。
- ハンニバルも若干ボロが出ていた。
- 「スピーチなんてあっさりこなしている」体を装いたいようだが、
やや歯切れが悪いし、たまに視線が泳いでいる。
- クイン=シルバー
- 「ふふ……。
あなたのような威厳のある頼もしい領主がトップに君臨していてくれれば、
民も安心して暮らすことができるでしょうね」
- クイン=シルバー
- 「敵ながら、あなたはまさに理想的な王様だと思いますよ」
- ハンニバル=ゴールド
- 「……世辞はいい。理想なんてのは人によって違うもんだろ」
- 内心では辟易しているのだろう。
ハンニバルはクインと目を合わせず、苦い薬を飲んだときのような顔で答える。
- クイン=シルバー
- 「おや? どうかしたのですか?
少し様子がおかしいようですけど……」
- ハンニバル=ゴールド
- 「おまえが柄にもない世辞ばっかり言ってるからだろ。
社交辞令はもういい、とにかく楽しんでくれ」
- クイン=シルバー
- 「世辞などではないと言っているでしょうに。
ふふ、ご謙遜ですねえ」
- ハンニバル=ゴールド
- 「っ……」
- アリス=リデル
- (いじめ過ぎよ、クイン。ハンニバルが気の毒になってきたわ……)
- ハンニバル=ゴールド
- 「──さて。もっと話していたいところなんだが、他の仕事があるから、ここらで失礼させてもらう」
- ハンニバルも音を上げたようだ。
ややとってつけた感があるが、そう言って話を終わらせた。
- ハンニバル=ゴールド
- 「もし何か不便があれば、俺の部下に言ってくれ。
すぐに対応するよう言ってあるから。
それじゃあ、またな」