オトメイト『スペードの国のアリス ~Wonderful White World~』公式サイト
- 弾けるような音。
- アリス=リデル
- (な、何が起こったの……?)
- 悲鳴も掻き消され、思考が霧散する。
あまりにも近くで、弾けた。
- トゥイードル=ディー
- 「……っぶないなあ。
何するんだよ、馬鹿ウサギ!」
- トゥイードル=ダム
- 「邪魔しないでよね~……。
せっかく、お姉さんと楽しく遊ぼうとしてたのに」
- やや離れたところから不満げな声。
いつの間にか、二人の位置が変わっている。
- 視線は私の背後、街へと続く道のほうに向けられていた。
その先には──
- エリオット=マーチ
- 「危ないのはてめえらだ、クソガキ共が!
かわいそうに……、アリス、怯えちまってるじゃねえか!」
- 撃ったのは、この男性で間違いなさそうだ。
この……、ウサギ耳を生やした男。
- アリス=リデル
- (猫耳の次はウサギ耳……)
- いかついお兄さんで、銃を片手に
ドスをきかせているのに……、
頭の上ではウサギ耳がぴょこぴょこ。
- シュールにもほどがある。
一瞬、今までの恐怖も忘れて目が点になった。
- トゥイードル=ディー
- 「はあ!?
僕ら、お姉さんを怖がらせたりしないよ!」
- トゥイードル=ダム
- 「そうだよ、とんでもない言いがかりだ!
僕達とお姉さんの仲を引き裂こうっていうの、
性悪ウサギ!」
- エリオット=マーチ
- 「言いがかりだと!? どこがだよ!
てめえらのほうこそ、物理的に
アリスを引き裂こうとしてただろうが!」
- エリオット=マーチ
- 「せっかく再会したのに、
怖がらせるなんて最低だぜ!」
- アリス=リデル
- (……いや。怖がらせているのは、
あなたもなんですけど。ウサギ耳のお兄さん)
- アリス=リデル
- (銃なんて……、
もし当たっていたら大変なことになっていたわ)
- 二人組から私を助けようとしてくれたことは分かる。
だが、少しずれれば私に当たる可能性も充分あった。
- 無条件に感謝するのは難しい。
しかしウサギ耳の男は、正義感にめらめらと
瞳を燃やしている。