オトメイト『スペードの国のアリス ~Wonderful Black World~』公式サイト
- ボリス=エレイ
-
「ここ、ちゃんと掴まっときなよ?」
- 落下しないよう前面のバーを握っておけと指示してから、操作盤の所まで戻り、がこんっとレバーを動かした。
- 一拍遅れて、停止していたメリーゴーランドが再び回り出す。
- ボリス=エレイ
-
「よっと」
- ひょいひょいと跳ねるように帰ってきたボリスは、そのままの勢いで私の後ろに飛び乗った。
- 座面が大きく作ってあるので、二人で乗っても安定感はある。
もちろん、かなり密着することにはなるが……。
- ボリス=エレイ
-
「はい。もう手を放しても大丈夫だぜ」
- 背後から包むように私の体を抱き、耳元で告げる。
- アリス=リデル
- 「っ……」
- アリス=リデル
- (分かっていたけど……距離が……)
- いや、思っていたのよりもずっと近い。
背中にぴったりとボリスの体がくっ付き、肩には顎が載せられている。
- わざわざ耳元で話しているのは故意だろう。
- ボリスのスキンシップにはそこそこ慣れたつもりでいたが、ここまでの密着、しかも乗っている間ずっとこの状態だとすると……
- アリス=リデル
- 「…………」
- 思わず身を硬くし、両手でしっかりバーを握ったままでいると、その手にボリスの手が重ねられた。
- ボリス=エレイ
-
「放さないの?
もう掴まらなくていいから、もっと俺に寄っ掛かってよ」
- ボリス=エレイ
-
「せっかくこんな可愛いのに乗ってるんだから、それらしく楽しもうぜ。
恋人みたいにくっ付いてさ」
- アリス=リデル
- 「~~っ」
- アリス=リデル
- (だから耳元で話すな、耳元で……!)
- しかもその声音は、明らかに楽しんでいる。
- アリス=リデル
- 「……あなた、遊んでいるでしょう?」
- ボリス=エレイ
-
「うん。見ての通り、あんたと遊んでる。
メリーゴーランドに乗るのなんてかなり久しぶりだな。
楽しいね」
- アリス=リデル
- 「そういう意味じゃなくて……」
- アリス=リデル
- 「私『と』じゃなくて、私『で』、遊んでいるでしょう……!」
- 私が意識しているのを分かっていて、からかっている。
とぼけるところがまた憎らしい。
- ボリス=エレイ
-
「ええ? 駄目なの、あんたで遊んじゃ?」
- ボリス=エレイ
-
「でも、あんたのせいだよ。
あんたの反応が可愛いから、遊びたくなるんだ」
- アリス=リデル
- 「~~~……っ」
- 顔が熱くなる。
恋人みたいにとか、可愛いとか、耳元で囁くような声で言わないでほしい。