- ジオルド
- 「あなたのペースに合わせようと思っていましたが、もう待つのはやめにします」
- ジオルド
- 「待っているうちに誰かに奪われてしまっては我慢ならないですからね……」
- ジオルドが、怒りを押し殺した声で囁く。
そして――。 - カタリナ
- (え? ――え??)
- ジオルド
- 「……っ……」
- 唇にふんわりと柔らかいものが触れている。
な、なんだこれは。
これって、まさか……。 - カタリナ
- (まさか……キス!?)
- カタリナ
- (な、なんで!? どうして……!?)
- この状況が、全くよくわからなかった。
令嬢からのアプローチに対する防波堤。
私はただ、それだけの婚約者のはずだ。 - カタリナ
- (それにジオルドは、いつか、マリアを好きになると思っていたのに……)
- この間だって、ジオルドは食事中マリアを見ていた。
さっきだって、隣に座っていた。
それに、前世で明け方までやっていた『FORTUNE LOVER』のジオルドルートのエンディング。
あれが記憶にある私には、この状況が全く理解できなかった。