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スカートが水を吸って、重たく、沈んでいく。
遠くで誰かの声がした気がしたけれど、水に落ちた衝撃のせいか、私の意識ははっきりとしなかった。
苦しい。息ができない。
うまく、身体が動かない。
どうしよう。
このままじゃ破滅しちゃう。
――誰か。
誰か助けて――。 - ニコル
- 「――カタリナ!」
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その時、ふっと唇に何かが触れて欲しかった空気が身体を満たすのが分かった。
誰かが抱きしめてくれた瞬間、ふわりと落下が止まる。
水中のはずなのに、なぜか風が吹くのを感じた。
水の中にいるのか、強風の中にいるのか分からない、不思議な感覚の中で、誰かが私を抱きしめてくれていた。