- ニコル
- 「…………」
- カタリナ
- 「おはようございます、ニコル様」
- ニコル
- 「…………?」
- 声をかけても、ニコルはなぜかぼんやりとしていた。
- ニコル
- 「ああ…………カタリナか」
- カタリナ
- (ん? もしかしてこれ、寝ぼけてる……?)
- ニコルの声は、今まで聞いたことがないようなふにゃふにゃした声だった。
- カタリナ
- (ニコルって意外と朝が弱いのかしら?)
- いつもよりも髪の毛が乱れているし、目もとろんとしていて眠そうに見える。
寝ぼけている可能性が高そうだった。 - カタリナ
- 「あのー、ニコル様? まだ朝も早いですし、寝てて大丈夫だと思いますが……」
- ニコル
- 「……先程、扉を開けただろう? 何かあったのかと思って、来たんだ」
- カタリナ
- 「す、すみません起こしてしまって! ちょっと怖い夢を見たので心細くて……」
- ニコル
- 「……そうか」
- ニコルは、私を見ても避けなかった。
というか最近避けていたことすら忘れているように、じっと私を見ている。
かと思うと、ぽすんと頭の上に何かが乗った。
――ニコルの手だった。 - ニコル
- 「大丈夫だ」
- よしよしと、犬か何かにするようにニコルが私の頭を撫でていく。
- カタリナ
- (や、やっぱりこれ、寝ぼけてるよね!?)
- 普段のニコルらしくない仕草に目を丸くしていると、彼はふんわりと微笑んだ。