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有比君は目の前の黒猫に視線を落とす。
- 肆形有比
- 「傷だらけで、怯えて、弱々しく鳴いて……
なんか自分を見てるみたいだったよ」
- 肆形有比
- 「人間に傷付けられたのか、同じ猫かそれとも違う動物に傷付けられたのか。
もしかしたら自分で怪我をしただけかもしれない」
- 肆形有比
- 「本当のところは分からないけど、放っておけなかった」
- 肆形有比
- 「でもそれは別に優しさとかじゃないんだよ。
俺が弱い人間だから弱いものに優しくしてるだけ」
- 肆形有比
- 「自分より弱い存在がいることで『俺はまだ大丈夫』って
安心したいだけなんだよ、きっと」
- 肆形有比
- 「こいつの為じゃない、俺の為に世話してるんだ。最低だよね」
- 零崎紘可
- 「…………」
- 零崎紘可
- 「そうかな……
人間って案外そんなものだと思うよ。私だってそう」
- 肆形有比
- 「え?」