- 玖折巡
- 「……誰が行っていいと言った?」
- 零崎紘可
- 「!!」
-
伸びてきた手が強引に私の腕を掴み、
身体を本棚に押し付けられる。
- 零崎紘可
- 「な、何するの!」
- 玖折巡
- 「どうやらお前は、少し痛い目を見ないと分からないらしい。
央助さんは手を出すなと言っていたが……これは立派な躾だ」
-
玖折君の右手が、私の頬へと向かって振り下ろされる。
突然の事に自分を庇う余裕もなかった。
- 零崎紘可
- (この学園に来てからこんなことばっかり……!)
-
伍代に襲われた時の事が頭によぎる。
自分の不運を呪いながら、目を瞑り歯を食いしばると――
- ???
- 「まぁまぁ、玖折先輩。落ち着いて下さいよ」
- 玖折巡
- 「!! 弐藤……」
- 零崎紘可
- (え……)
-
頬を引っぱたかれる寸前、玖折君の腕を止めたのは光だった。
戦ぎの地で、伍代に襲われた私を助けてくれたあの時と同じように。
- 玖折巡
- 「お前、いつの間に……!」
- 弐藤光
- 「彼女がなかなか来ないので、
ここかなーと思ったらビンゴでした」
- 弐藤光
- 「っていうか先輩。
こんな誰もいない部屋で女子と二人きり……
副会長ともあろう人が大胆なことしますねぇ」
- 玖折巡
- 「……お前にはこれが、色気のある展開に見えるのか?」
- 弐藤光
- 「まぁ、見る人によっては見えなくもないかなーと」
- 玖折巡
- 「はぁ……全く。この女然り、お前然り、
数研の連中は自分たちの立場ってものが本当に分かっていないようだな」
- 弐藤光
- 「いえ、ちゃんと分かってますよ。
玖折先輩たちは天下の生徒会様、そして俺たち数研はその下僕」
- 弐藤光
- 「……だとしても、男が女に暴力っていうのは見過ごせません」