- 零崎紘可
- 「あ……ご、ごめん」
- いきなり手を握られ謎の言葉を呟かれるなんて、驚くなという方が無理だろう。
いつものように嫌味を言われるかと思いきや、玖折君からは意外な言葉が返ってきた。
- 玖折巡
- 「どうしてお前が、これを……」
- 零崎紘可
- 「え?」
- 玖折巡
- 「…………」
- 玖折巡
- 「これは昔じいさんがよく俺にやってくれたものだ。
どうしてそれをお前が知っている?」
- 零崎紘可
- 「どうしてって……
私も小さい頃によくやって貰ってたから」
- 二人揃って顔を見合わせる。
このおまじないは、おそらく私が住んでいた地域に伝わるものだ。
- 玖折巡
- 「……お前、この学園に来る前はどこにいた?」
- 零崎紘可
- 「え、どこって……」
- 前に住んでいた場所を答えると、玖折君は小さな溜め息をついた。
- 玖折巡
- 「まさかじいさんと同じ……」
- 零崎紘可
- 「玖折君のおじいさん?」
- 玖折巡
- 「ああ、もう死んでるがな」
- 零崎紘可
- 「!!」
- 玖折巡
- 「こんな雨の日だった……」