ニケ「あ」
ユリアナ「ニケ!あんたはもう!またそうやって独りで!当番制でしょ、他の奴にもやらせなさいよ!」
ニケ「別にそんなこと気にしてないよ、僕、薬煎じるの好きだし」
ユリアナ「そんなだから使われるの!もっと強気で!」
ニケ「ここにいるのも好きだし。……ところで、そっちの子がもしかして例の魔剣の?」
ラン「……初めまして」
ニケ「初めまして、僕はニケ。よろしくね」
ラン「それって何の薬を煎じてるんですか?」
ニケ「これは戦場に携帯するための傷薬だよ。僕達、衛生班の大事な仕事なんだ」
ラン「衛生班?そんなものまであるんですね。自分で配属を希望するんですか?」
ユリアナ「あー!」
ラン「え?」
ニケ「大丈夫だよ、ユリアナ」
ラン「え?ごめんなさい、あの私、何か……」
二人の遣り取りにはっとするも、意味が分からない。
ニケ「衛生班は、配属を希望するものじゃないんだ」
ラン「……?」
ニケ「平たく言うと、成績が悪い者が配属になる」
ラン「え!」
ラン「あ、ああ、あの、ごめんなさい……その……」
知らなかったとはいえ、自己嫌悪が込み上げてくる。
目の前のニケがにこにこと笑っているのが、せめてもの救いだろうか。
ニケ「気にしないで。さっきユリアナにも言ったけど僕は衛生班も大事な役目だと思ってるよ」
ニケ「あと、僕に敬語は不要だよ。きっと歳も近いと思うし」
ラン「……はい」
ニケ「衛生班に関しては、元はと言えば、武器なんて殆ど扱えない僕がここにいるのが悪いわけだし」
ニケ「退学になるまでは精一杯やるよ」
ユリアナ「応援してる」
ユリアナ「じゃあ、彼女を案内しないといけないからそろそろ行くね」
ニケ「うん、また」