私が顔を上げた時だった。

アベル「……ふっ!」
生徒「うあぁぁ……っ!」
ラン「……!?」

目に飛び込んできた黒髪の生徒を見て、私は身を乗り出した。

ラン「あ……!!あの人、強い……!!」
ユリアナ「ああ、アベルね」
ラン「アベル?そう言えばさっき……食堂で名前を……」
ユリアナ「あいつは、今のところこのニルヴァーナのトップなの。彼に勝てる者は誰もいない」
生徒「う、わ……っ、うわ……っ」

これも練習、と言っていいのだろうか。
明らかにアベルは余裕の表情で、
対戦している生徒が必死に剣を受けながら一方的に後ずさってゆく。

ユリアナ「いつもあんな感じよ。強過ぎて、上官の先生達も敵わないくらい」
ラン「た、確かに……。もう剣の速さが全然違う……」
ユリアナ「私も何度か戦ってるけど、もうぜーんぜん」
アベル「……最後だ!」
生徒「ぐっあああ……───っ!」


あっという間だった。
ものの数十秒で、その勝負は終わってしまった。

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