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- 桜太郎
- 「あっ、ちょっと待って!」
- 紗乃
- 「っ……!?」
- なんと桜太郎が、私の手を思いっきり引いてきたではないか。
それだけならまだしも、そのまますっぽりと横抱きにされてしまって……。
- 紗乃
- (えっ……!? な、何……!?)
- 突然そんな風に抱き締められて、動揺しないわけがなかった。
明らかに、自分とは違う体温に包まれている。
恥ずかしさのあまり、私は桜太郎の顔を見上げることすらできなかった。
- 紗乃
- 「お、桜太郎。これは――」
- 桜太郎
- 「こら、人がいるのに走っちゃ駄目だろ!」
- 紗乃
- 「!?」
- 見当違いの方向に投げかけられた声に、緊張が一気に吹き飛んでしまう。