- 柴田勝家
- 「さてと。邪魔なやつは消えたな。……それで、さっきの話だけど」
- 市
- 「さっきの話?」
- 柴田勝家
- 「女と美味い酒の話。そんなに気になるなら、姫さんが相手しろよ」
- 柴田勝家
- 「お前も一応、女だろ?」
- 市
- 「一応じゃないわ。どこからどー見ても女でしょ」
- 柴田勝家
- 「はは、まあ。黙ってりゃあな。
黙ーって、お酌でもしてくれりゃ俺様も町に出て女遊びするのを控えてやるぜ?」
- 柴田勝家
- 「……白い肌、吸い込まれるような黒髪に硝子細工みたいな碧い瞳……
はは、いいねえ。そそるじゃねーか」
- 市
- 「!!」
- 勝家は、私の頬を指でゆっくりと撫でる。
慣れない行為に、私の体は硬直する。
――でも
内心にやにやと笑い、心の中では私を困らせる気満々の表情をしているのが手に取るようにわかる。
- 市
- (普段は私のことを避けているくせに。こういう時ばっかり……)