- 市
- 「あ……っ」
- 市
- (きゃ!)
- 武田信玄
- 「え!?」
- 武田信玄
- 「…………っ」
- 市
- 「……あれ? 痛くない……」
- 武田信玄
- 「そ、そなた。だ、大丈夫……か?」
- 着物の裾を勢いよく踏み、転んだと思ったのに体はどこも痛くない。
それに、何故か私の視界は暗かった。
状況が呑み込めないまま、聞き慣れない声がした方向へとゆっくりと顔を上げる。
- 市
- 「……!!」
- 間近に迫った見慣れない男の人の顔。
体中の熱が一気に顔に押し寄せ、みるみる頬が赤く染まっていくのが自分でもわかった。
- 市
- 「す、すみません! わ、私……!」
- 武田信玄
- 「……あ! 待ってこの体勢で……そんなに慌てると、また……!!」
- 市
- 「きゃっ!」
- 武田信玄
- 「……だ、大丈夫……か?」
- 市
- 「……ご、ごめんなさい! 一度ならず、二度までも!!」
- 武田信玄
- 「落ち着いて……ゆっくりでいいから」