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シェルビー・スネイル
「――来たか」
社長室に入ると、そこにはシェルビー・スネイル社長がいた。

キューピット・コーポレーション創業者で我が社の誇る若きカリスマ社長だ。
シェルビー・スネイル
「早く来て貰ってすまないな」
ヒロイン
「い、いえ……」
シェルビー・スネイル
「…………」
ヒロイン
「…………」
ヒロイン
「あの……。それで今日は、一体どんなご用件でしょうか?」
シェルビー・スネイル
「そうだな。一つ先に確認したいのだが――」
シェルビー・スネイル
「お前は、常々周りに出世をしたいと言っているそうだな」
ヒロイン
(ぎくっ)
まさか、私の口癖が社長の耳にまで届いているだなんて思わなかった。
シェルビー・スネイル
「別に、それが悪いと言うつもりはない。
向上心があるのは良い事だ」
シェルビー・スネイル
「だが、1年目から言う人間は珍しいので気になってな。
なにか理由があるのか?」
ヒロイン
「えっ? それは……なんといいますか――」
本当の理由は、あまり人に言える内容じゃない。
ヒロイン
(そもそも言っても、信じてもらえないと思うし)
少し悩んで、当たり障りがない内容を話すことにした。
ヒロイン
「出世したら、もっと多くの人の結婚のお手伝いを出来ると思ったんです」
シェルビー・スネイル
「手伝いを?」
ヒロイン
「はい。私は結婚率が低下している事がずっと気になっていたんです」
これは、本音だ。
結婚率の低下はずっと悩んでいたことだから。
ヒロイン
「そんなある時、結婚の為の会社がロサンヨークにある事を知って……。
その時、CC.に入社したいって思ったんです」
ヒロイン
「入社してもその気持ちは変わりません。
だから私は出世して、もっとたくさんの人を縁結び出来るようになりたいんです!」
シェルビー・スネイル
「そうか。なかなか殊勝な心がけだな。
さすがは1年でトップ・ブライダルアドバイザーに上り詰めただけはある」
シェルビー・スネイル
「しかし結婚率の低下を憂いている、か。
まさしく『恋のキューピット』だな」
ヒロイン
(ぎくっ)
シェルビー・スネイル
「? 引きつった顔をしてどうした?」
ヒロイン
「い、いえ! それよりその、今日はどのようなご用件で……」

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