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- アラン・メルヴィル
- 「キミに使って貰いたくて、持ってきたんだ。
どう? ……気持ちいいでしょ?」
- ヒロイン
- 「枕がね?」
- アラン・メルヴィル
- 「そ、枕が」
- くすくすと笑って、アランさんが私の髪を梳く。
- ヒロイン
- (確かにこの枕はびっくりするぐらい気持ちいいけれど……)
- 押し倒して、上から覆いかぶさって逃げられなくするなんて体験のさせかたが妙にいやらしい。
- アラン・メルヴィル
- 「……どう? 気持ちいい?」
- ヒロイン
- 「あの、枕に集中したいんで上からどいてくれます?」
- アラン・メルヴィル
- 「正しくフィットしてるか、確認しなきゃ駄目でしょ?」
- アラン・メルヴィル
- 「キミの可愛い肩が浮いていないかとか、顎の角度とか、さ」
- アラン・メルヴィル
- 「天井に対して並行になっているか、妙な角度がついていないか……。
それが安眠の為には大切なんだ」
- ヒロイン
- 「あの、じゃあますますどいて頂かないと天井と並行になっているかどうか分からないんですが……」
- アラン・メルヴィル
- 「こうして俺の目を見れば、正しく上を向けているか分かるでしょ?」
- 目を細めて、アランさんが私の顎に指をかける。
- ヒロイン
- 「っ……」
- 指の動きがいやらしくて、ついギクリとする。
でも、別に何も起きなかった。
アランさんはただ、天井との角度を測っているのだ。
- ヒロイン
- (うーん? なんだろうこの状況……)
- 男の人に押し倒されているはずなのに、何故か危ない感じはしない。
叔母さんが見せてくれたロマンス映画では、もっと男性が女性を押し倒す時はロマンチックだったし、見ている側もドキドキした。
けれども、映画で見た光景と、現状は全然違う。
アランさんがその気じゃないのがばっちり伝わってくるので、こっちも危機感を煽られづらかった。
- ヒロイン
- (略奪パラサイト、だものね。恋をしている女の子にしか興味ないんだわ)
- それでも、染み付いている習性のせいで女性と触れ合う時はどうしても口説くような姿勢になるのだろう。多分。
- ヒロイン
- 「あの、何してるんですか」
- アラン・メルヴィル
- 「安眠の為に、リラックスさせてあげようと思ったんだよ。……ね?」
- くすくす笑って、アランさんがじゃれるように私の耳にキスをする。
- ヒロイン
- 「っ……!」