- 今は目の前にいる雪波が、人の情などまるで持ち合わせない未知の化け物のように見えてきた。
- 小鳥遊 ユウキ
- (子供みたいだと思った私の感覚は合っていた。やっぱり雪波は『子供』なんだ)
- 小鳥遊 ユウキ
- (『友達』や『仲間』という概念とか、『善悪の区別』なんてものがないから、自分の気分次第で簡単に他者の命も奪える……)
- 子供は時として無邪気に残酷なことができる。
何かきっかけがあれば、私のことも先ほどの害獣と同じように簡単に殺すだろう。 - 小鳥遊 ユウキ
- (無邪気な笑顔を見て、誤解していた。子供みたいだと思って、油断していた……)
- 私を見つめてくる少年の皮を被った何かが、急にひどく恐ろしいものに思えてきた。
- 雪波
- 「ユウキ、震えてるの……?」
- 雪波が私の頬に手を伸ばしてきたので、反射的にビクッと肩を揺らす。
私の意思とは無関係に、顔が引きつりそうになる。 - 雪波
- 「あれ? もしかして、ボクが怖いの?」
- 小鳥遊 ユウキ
- 「……っ」
- 図星を指され、心臓をわしづかみにされたような心地になる。