- 私の言葉をさえぎるように冨司さんが私に歩み寄ってくる。
- 冨司 リョウ
- 「礼ならもらうから遠慮するな」
- 小鳥遊 ユウキ
- 「え……?」
- 私はあっという間にテントの壁際まで追い詰められてしまった。
冨司さんが身をかがめ、私の耳朶に唇を寄せる。 - 冨司 リョウ
- 「男のところに1人でのこのこついて来て、こうなるとは想像しなかったのか?」
- 小鳥遊 ユウキ
- (な、なに? この状況……!)
- 相手の熱を感じるほどの距離。
心臓が早鐘を打つ。
鼓動の音が耳の奥でうるさく響く。 - 小鳥遊 ユウキ
- (礼ならもらうって……え? うそ。そ、それって……、まさか……!)
- これまでの人生で想像もしていなかった状況に、私の頭の中は大混乱を極める。