- 遮那王
- 「……っ!」
- 遮那王
- (目の前には教経、後ろからは平家の侍たち。追いつかれたら終わりだ)
- 遮那王
- (戦うか? いや、人数もわからないんだ。今はとにかくここから離れるのが先決!)
- 遮那王
- 「!?」
- 遮那王
- 「離せ!!」
- 平 教経
- 「…………」
- 平 教経
- 「――来い!」
- 遮那王
- 「え? ……うわっ!」
- 遮那王
- 「教経!? 一体なにを……」
- 平 教経
- 「そのまま動くな」
- 遮那王
- 「ま、待て!」
- 平家の侍
- 「ん? あれは……!」
- 遮那王
- 「!」
- 平家の侍
- 「ああっ、教経様! こちらにいらっしゃったのですね」
- 平家の侍
- 「一大事にございます! あの遮那王が現れました!」
- 遮那王
- (っ、ここで見つかれば終わりだ)
- 平家の侍
- 「鞍馬を破門されたと言い捨て、逃げました。今、行方を追っております!」
- 平家の侍
- 「教経様はずっとこちらに? こちらの方に遮那王は」
- 遮那王
- 「!」
- 平 教経
- 「…………」
- 平 教経
- 「こちらには来ていない」
- 遮那王
- (――え?)
- 遮那王
- (今、教経は何と言った?)
- 平 教経
- 「急ぎ他を探せ! 俺もすぐに向かう」
- 平 教経
- 「ぐずぐずするな。早急に他の門を確認しろ!」
- 平家の侍
- 「はっ、承知いたしました!」
- 平家の侍
- 「皆の者! 行くぞ!」
足音はもうすぐそこまで来ていた。
飛び出すようにして教経の横をすり抜けようとした――その瞬間。
強い力で手首を掴まれた。
強い力で腕を取られ、そのまま勢いよく路地裏へと押し込まれた。
兵の声に、思わず動きを止めた。
それと同時に教経は背を向けて行ってしまう。