東地 葵
「コウくん、離れて……」
榊原 コウ
「嫌だ。ふたりきりなのに恥ずかしがることないだろ? ここにはユウもいない。ってことは、アンタを独り占めできる」
離れるどころか、更に体重を預けてきたコウくんについドキッとしてしまう。
東地 葵
(いやいやダメだって!)
東地 葵
「独り占めって……子供じゃないんだから」
榊原 コウ
「また子供扱いしてる。俺だって男なんだって、わかってる?」
東地 葵
「でも、私にとってコウくんは可愛い男の子だよ」
榊原 コウ
「これでも可愛い男の子って言えるのかよ」
むっとしたコウくんは私の手を掴むと、指先を咥えた。
東地 葵
「コウくん!?」
ぎょっとして手を引っ込めようとする。
すると、コウくんは触れた指先に口付けを落とした。
榊原 コウ
「……どう? 分かった?」
東地 葵
「そういうことを、しちゃいけません!」
榊原 コウ
「なんで?」
無垢な瞳を向けられても反応に困ってしまう。
東地 葵
「お願いだから、もう離して……」
榊原 コウ
「嫌だ。手を離したら、俺から離れるだろ」
東地 葵
「当たり前でしょう。もう、早く正気に戻って……!」
年下の男の子にドキドキさせられっぱなしなんて、恥ずかしすぎて耐えられない。