東地 棗
「や、やっぱり恥ずかしいです……!」
望月さんは抵抗する私の体を抑え込むようにしてきつく抱きしめてきた。
望月 ヨウスケ
「こんだけ強く抱きしめてれば、俺から離れられねぇだろ。恥ずかしがらずにそろそろ慣れろよ」
東地 棗
(強い……なのに、苦しくない……これが望月さんの優しさなんだ)
東地 棗
(この優しさに甘えてしまえたら……)
東地 棗
(……っ、それはまだダメ!強くなるって決めたんだから。ここで決心が揺らいだら、望月さんに近付けない)
望月 ヨウスケ
「ずっとお前をこの腕に抱いておきてぇ。そうすりゃ全てのモンからお前を守ってやれる。もうお前を傷付けねぇで済む」
囁くような声で呟いた望月さんが私の体を抱く手に力を込めた。
望月 ヨウスケ
「俺にできるのは、どんなことをしてもお前を守ることだけだ」
望月 ヨウスケ
「もっと俺に何でも預けてこい。こうやって守っててやるから。いいな」
感情に突き動かされるようにして、私は小さくうなずく。
望月さんはそれを確認すると、満足そうにまた私を抱きしめた。