チヒロさんから綿菓子を受け取り、ひと口かじる。
東地 桜
「わ、お砂糖の味がする。すっごく甘いけど懐かしい味ですね」
翠川 チヒロ
「へぇ……? どんな味なんだ? 俺にも食べさせろよ」
東地 桜
「チ、チヒロさん!?」
私が返事するより早く、チヒロさんが綿菓子にかじりついてきた。
驚いてしまい、反射的に避けようとして自分の手に綿菓子をくっつけてしまった。
東地 桜
「やだ、指がベタベタになっちゃった」
翠川 チヒロ
「何やってんだ、お前」
東地 桜
「だってチヒロさんがいきなり食べるから……」
小野沢 マサト
「大丈夫? 綿菓子は溶けやすいから気をつけてね」
また綿菓子に当たりそうになった手をマサトさんが掴んでくれた。
東地 桜
「マサトさん、ありがとうございま――……っ!?」
東地 桜
「ママ、マサトさん!? あの、どうして私の指を……」
小野沢 マサト
「ん? だって指に綿菓子がついてるから。ちゃんと綺麗にしておかないとね。……んっ」
東地 桜
「だ、大丈夫です! ハンカチで拭きますから!」