- 火ノ宮一輝
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「ふむふむ、なるほどな……」
- ヒカリ
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(一輝くん、熱心に見てるけど……あの本は参考書かな?)
- ヒカリ
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(ん? あれっていつも持ってる本だよね。
タイトルは……『マニュアル本』?)
- 火ノ宮一輝
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「よし、これで完璧だな」
- ヒカリ
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(え? こっち向いた?)
- 火ノ宮一輝
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「なあなあ……。
この問題の解き方、教えてくんねー?」
- ヒカリ
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「これ? いいけど……」
- 火ノ宮一輝
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「よし! さっすが爺やだな」
- ヒカリ
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(爺や……?)
- 火ノ宮一輝
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「よいしょ……と」
- 火ノ宮一輝
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「これでいいな」
- ヒカリ
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「い、いま!?」
- 教師
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「どうしたー?」
- 火ノ宮一輝
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「こいつに、わからないところ教えてもらいまーす!」
- 教師
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「そうかそうか。教え合いは大事だからな」
- 火ノ宮一輝
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「へへっ。先生、良いこと言うな!」
- ヒカリ
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(気のせいかな。距離が近すぎる気がするんだけど)
- ヒカリ
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「あの、教えるなら、授業が終わったあとでも……」
- 火ノ宮一輝
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「えっと、あとは何やるんだったか」
- ヒカリ
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(聞いてない!)
- ヒカリ
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「…………」
- ヒカリ
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「一輝くん、さっきから見てるその分厚い本って……」
- 火ノ宮一輝
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「これは、火星で世話をしてくれた爺やが
俺のために作ってくれたものなんだ」
- ヒカリ
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(いつも持ってるけど、すごく大事なものなのかな)
- ヒカリ
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「どんなことが書かれてるの?」
- 火ノ宮一輝
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「なんだ? 興味あるのか?」
- ヒカリ
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「……少しだけ」
- 火ノ宮一輝
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「んー? そうだな。お前になら特別に見せてやってもいーぞ、ほら」
- ヒカリ
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「ありがとう」
- ヒカリ
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(お、重い……)
- 火ノ宮一輝
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「その中にはすっげー重要なことが書かれてるからな。大事に扱えよ?」
- ヒカリ
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「うん……」
- ヒカリ
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(えっと、なになに……)
- ヒカリ
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(初めてのデートスポットには、遊園地、映画館がオススメ)
- ヒカリ
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(デート雑誌?)
- 火ノ宮一輝
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「ふふん。俺、中身全部覚えてるんだぜ」
- 火ノ宮一輝
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「俺だけのプリンセス……」
- ヒカリ
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「っ!?」
- ヒカリ
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(み、耳元で……!)
- 火ノ宮一輝
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「どーだ? ドキドキしたか?
あとは……」
- ヒカリ
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「も、もう大丈夫!!」
- 火ノ宮一輝
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「ん? もういいのか?」
- ヒカリ
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「う、うん。ありがとう」