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- 不意に、強くマフラーを引っ張られた。
- 星野市香
- 「ちょっ……!」
- 笹塚 尊
- 「黙れ」
- ハッとして彼を見れば、まるで憎まれているかのように強い視線がぶつかった。
ぞくりと背筋を走る悪寒に、動けなくなる。
- 笹塚 尊
- 「命がかかってるからって、誰もがお前に同情すると思うな」
- ……それは、衝撃的な一言だった。
私を【死なせたくない】、そう言ってくれた柳さんのおかげで得た安心感のようなものが一瞬で凍る。
それと同時に、私はどこかで自分が今、同情されるべき境遇にあると思っていたことに気付かされた。
- 星野市香
- (この人は、違うんだ)
- いつ殺されるかわからない私のことも、本気でどうでもいいと思ってる――?
- 笹塚 尊
- 「お前に自覚があろうとなかろうと、アドニスがお前に何らかの価値を出してるのは事実だ」
- 笹塚 尊
- 「この繋がりを無駄にできるかよ。どんな酔狂か知らねえけど、向こうも真相に辿り着けって言ってんだ」
- 笹塚 尊
- 「忘れたか? 首輪のヤツは言ったろ。お前を通して俺らのことも見てるってな」
- 笹塚 尊
- 「俺は事件を解決するためだけに動いてる。そのためにお前の存在が必要だってんなら絶対に逃がさねえ」
- 星野市香
- 「それは……」
- 私は、恐怖にかすれた声で言った。