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- 岡崎 契
- 「はぁ……っ」
- 星野市香
- 「ん……ぅ……っ」
- 背中に押し当てられるガラス戸が、心地よい冷たさで私の逃げ場を奪い去る。
彼が玄関を開けてからたったの数十秒。
貪るように重ねられた岡崎さんの唇が、私の唇を余すところなく味わっていく。
- 星野市香
- (……っ苦し……)
- 静止する言葉そのものどころか、言葉を紡ぐ意志さえ奪い取ろうという口づけに、私はされるがまま立ち尽くしていた。
会える機会がなかなか取れないせいか、最近は、いつもこうだ。
- 星野市香
- 「は……ちょっと、待って、ください。久々に会ったんだからもっとゆっくり……」
- 岡崎 契
- 「ダメ」
- 星野市香
- 「ふ……っ」
- 岡崎 契
- 「…………」
- 岡崎 契
- 「オレが我慢できない」
- 星野市香
- 「……でも、帰ってきて早々……。夕飯も食べてませんよね?」
- 岡崎 契
- 「うん、おなかすいた……」
- 星野市香
- 「だから先に来て、料理してたんです。もうすぐ出来るところですから――」
- 岡崎 契
- 「ううん、夕飯はあとで。今はこっち」
- 星野市香
- 「もう……」
- 軽々と彼に抱えられたかと思うと、柔らかく寝心地のいいベッドが、私の背を抱き留める。
私の視界を奪うように覆い被さりながら、岡崎さんは微笑んできた。