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- 星野市香
- 「ネクタイ、曲がってますよ」
- 柳 愛時
- 「……ああ、本当だ。気づかなかった」
- 星野市香
- 「そのままじっとしててください」
- 声をかけてから柳さんとの距離を縮め、ネクタイへと手を伸ばす。
斜めになっていたノットを真っ直ぐに整え、長さも揃えた。
ディンプルの位置も確認する。
- 星野市香
- 「…………」
- 出来映えを確かめつつ柳さんのネクタイを撫でていて、ふと気づく。
出かける前に、ネクタイを直す。
これは、なんていうか。
- 柳 愛時
- 「なんというか……これは」
- 星野市香
- 「はい?」
- 柳 愛時
- 「……新婚みたいだな」
- 星野市香
- 「…………同じこと考えてました」
- 柳 愛時
- 「………………そう、か」
- 顔が、自然と熱くなる。
これは照れても仕方がない……と思う。
- 柳 愛時
- 「……じゃあ、ついでにもうひとつ」
- 星野市香
- 「え?」
- 柳 愛時
- 「新婚らしいことを、な」
- 声と同時に、柳さんの顔が近づいた。
続いて、唇に軽い感触。
ちゅっと可愛らしい音を立てて、柔らかい吐息が唇を撫でる。
……ちょっとだけ、驚いた。
柳さんが、これをやってくれるなんて。
- 星野市香
- 「……もしかして、いってらっしゃいのキス、ですか?」
- 柳 愛時
- 「ん、一緒に出かけるからな……。いってきます、のキスでもあるか」
- 星野市香
- 「ふふ、ぜいたくですね」
- 柳 愛時
- 「おかげで、今日も1日頑張れそうだ」
- 星野市香
- 「……私もです」