- 平 知盛
- 「姫君……もっとだよ」
- 源 義経
- 「と、知盛……! 女房たちが傍にいるのに――」
- 平 知盛
- 「おや、あの者たちを気にするだけの余裕があるとは。義経、私だけを見なさい」
- 源 義経
- 「わ……!?」
- 平 知盛
- 「部屋へ行こう」
- 平 知盛
- 「恥ずかしがり屋の私の妻が、存分に私に愛を示せるように」
- 源 義経
- 「何を言って……」
- 平 知盛
- 「お前たち、人払いを。夕刻まで誰も部屋に近づけてはならないよ」
- 女房1
- 「畏まりました、お館様」
- 源 義経
- 「夕刻……? いったいどれほど長く人払いをするつもりなんだ」
- 平 知盛
- 「私の希望としては、夜更けまでと言いたいところかな」
- 平 知盛
- 「そなたの私への愛はとても深いのだろう? 夕刻までに全てを示せるとは思えない」
- 源 義経
- 「な……んんっ」
- 源 義経
- 「……っ」
軽く吸う音が静かな庭先に広がると、羞恥でたちまち耳は熱くなる。
知盛に軽々と横抱きをされた私は、慌ててその首へ腕を回した。
抗議の声を上げよう とした口を知盛が塞ぐ。
そして庭先から邸へと上がり、部屋の中に入り込むと、するすると御簾が下ろされ 、私と知盛だけとなった。
そのまま床に座った知盛に、私は横抱きにされたまま口づけを受ける。