- 源 義経
- 「や、ぁ……んん」
- 源 頼朝
- 「……っ」
- 源 義経
- 「……っ、お待ち、ください。ど、どうしてこんな――」
- 源 頼朝
- 「……どうしてだと?」
- 源 頼朝
- 「そうか、お前にはわからぬか」
- 源 頼朝
- 「そうであろうな」
- 源 義経
- 「……っ、もし私が何か粗相をしたのであれば、言ってください」
- 源 頼朝
- 「……『粗相』か」
- 源 頼朝
- 「義経……」
- 源 義経
- (あ……)
- 源 義経
- (頼朝様がこんな態度を取られるなんて。私は一体どんな粗相を……)
- 源 義経
- (だが何故、理由を言ってくれない?
嫌だ……わからないままなんて、何も話してくれないなんて――)
角度を変えて唇を蹂躙する頼朝様に、まるで食べられているような感覚。
息継ぎがうまくできないのと、与えられる刺激に涙が目に浮かんだ。
息を切らして問えば、頼朝様は軽く伏せていた目を私にまっすぐと向ける。
眇められた目に宿る感情がなんなのかがわからず、私は言葉に詰まった。
軽く歪められた頼朝様の唇が、私の唇を軽く吸う。
皮肉げな表情を浮かべたかと思うと、静かに顔が近づき、微かに唇が触れ合う。
吐息混じりに呼ばれた名の響きと、先ほどとは様子の違う口付けに戸惑いよりも切ない気持ちが溢れた。
再び近づきかけた頼朝様を遮るように、私は自分の顔を手で遮る。