- 遮那王
- 「――はああっ!」
- 佐々木 高綱
- 「うわっ!?」
- 佐々木 高綱
- 「っ……! うう……」
- 遮那王
- 「先に倒れた方が負けだったな。私の勝ちだ!」
- 佐々木 高綱
- 「う……うう……っ」
- 遮那王
- 「……どうかしたのか?」
- 遮那王
- (実際に斬ったわけではないが。まさか、どこか打ち所でも……?)
- 佐々木 高綱
- 「……」
- 遮那王
- 「大丈夫か!? すまない、やりすぎた。 今手当を……!」
- 遮那王
- 「!?」
- 遮那王
- 「……っ」
- 佐々木 高綱
- 「……はい。形勢逆転。あんな演技に引っ掛かるなんて、ちょっと甘すぎるんじゃない?」
- 遮那王
- (……一体何が起きた?)
- 遮那王
- (触れようとした瞬間に腕を引っ張られて、そのまま……)
- 遮那王
- 「……っ、不意打ちとは卑怯だぞ。それに勝負は付いたはずだ」
- 佐々木 高綱
- 「確かにそうだね。今の勝負、遮那王様はとっても強かったよ」
気合いを乗せた渾身の一撃だった。
まともに受けた高綱は吹き飛び、地面に倒れ込む。
この勝利で実力を示すことが出来た。
そう思うと、いつになく気分が高揚する。
……だが倒れた高綱はいつまで立っても起き上がってこない。
ぐったりと目を閉じたままの彼に、ひゅっと心臓が冷たくなった。
慌てて駆け寄り、触れようとしたその瞬間。
倒れ伏していたはずの高綱が私の上に馬乗りになり、息がかかるほどの距離で不敵に笑っている……。
彼の動きは素早く、全く反応出来なかった。