- 佐藤 忠信
- 「やはり俺などより、あなたの方がずっと純粋だ」
- 佐藤 忠信
- 「凄いな、遮那王様は……。それほどに世の中や民のことを思っているとは。
あなたほど真っ直ぐな人に会ったことがない」 - 遮那王
- 「そんな大した人間ではない。思うばかりで、今までは何も行動に移せていなかった」
- 遮那王
- 「先ほど言っただろう?
今回私が勇気を出せたのは、お前の言葉が背中を押してくれたおかげなんだ」 - 遮那王
- 「だから忠信、礼を言わせて欲しい」
- 佐藤 忠信
- 「やめてくれ、遮那王様!
俺は思ったことを口にしただけだ。畏まって言われると、なんだか照れるな」 - 佐藤 忠信
- 「けど……俺の言葉を、そんなに大切にしてくれたのは嬉しい。
俺たちはお互いの言葉に影響されてたんだな」 - 遮那王
- 「そのようだ」
- 佐藤 忠信
- 「ありがとうな、遮那王様。あなたのことを、また一つ理解できた気がする」
- 佐藤 忠信
- 「あなたは尊敬できる人間だ。平泉に来てくれて良かったと、そう思う」
- 遮那王
- 「私こそ。お前と知り合えたことに感謝している」
- 佐藤 忠信
- 「蝦夷たちと共に暮らすのは苦労も多いだろうが、俺たちが協力し合えば上手くやれるさ」
- 佐藤 忠信
- 「きっと俺たちは、いい相棒になれると思う。改めて、これからよろしく頼むぞ!」
- 遮那王
- 「ああ!」
忠信は真正面からじっと私を見つめ、にこりと笑みを浮かべた。
私と忠信は顔を見合わせて笑った。
率直に向けられる信頼がくすぐったい。
私もまた、同じようにしっかりと彼を見つめ、言葉を返した。