ヤジュル |
「相変わらずおめでたい女だな、お前は。 あの頃と何も変わっていない」 |
ヤジュル |
「記憶も体も失ったというのに……。 根っからなのか、お前のそれは」 |
イヴ |
「ヤジュル、何言ってるの? わたし分からないよ……!」 |
ヤジュル |
「そうか。だがそれの何が不安なんだ? お前が何も分かっていないのは昔からだろう」 |
イヴ |
「わたし知らない、昔なんて知らないの……! 本当だよ……!」 |
ヤジュル |
「ふん、そうだろうな……」 |
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分からない。
ヤジュルの言っていることが、何も。
彼のそんな言葉に耐え切れず、わたしの頬を涙が伝い始める。 |