オトメイト『DAIROKU:AYAKASHIMORI』(略称:ダイロク)|ギャラリー
- 体勢を整える前に、ナイフを振りかぶる男の姿が見える。
- 秋津しの
- (ダメだっ……)
- 反射的に、目を閉じた。
- 秋津しの
- (…………え?)
- しかし、一秒、二秒と経過しても、刃物に貫かれる痛みはやって来ない。
- 秋津しの
- (どうして……)
- 秋津しの
- 「……あ……!」
- 目を開けて、すぐに視界に飛び込んできたのは、長い灰色の髪をなびかせた、比良の背中。
- 比良
- 「……これは、どういうことだ?」
- 管理部長の息子
- 「ぐぅっ!?」
- 顔を真っ赤にし、全身の力を込めて踏ん張って見える金田さんの突き出すナイフを、比良は羽団扇一つで軽々と受け止めている。
- 秋津しの
- (私が材料をあげたやつ……)
- 使っているところは、初めて見た。
- 管理部長の息子
- 「このっ……化け物が! 邪魔をするな!」
- 比良
- 「……………………」
- 比良は答えず、すっと目を細めると……。
- 管理部長の息子
- 「うわあっ!?」
- 羽団扇のひと払いで高々と金田さんを放り上げ、金田さんはなす術もないまま宙を泳ぎ、やがて地面に叩きつけられる。