オトメイト『DAIROKU:AYAKASHIMORI』(略称:ダイロク)|ギャラリー
- 秋津しの
- 「ちょ、ちょっと待って。これは一体――」
- ???
- 「……うるさい」
- 大きな狐と話をしようとしていると、どこからか不機嫌そうな声が聞こえた。
- 湫
- 「…………」
- 秋津しの
- (あっ……)
- かと思うと、私が立っていた傍の木から、湫さんが降りてくる。
- 湫
- 「……行くぞ」
- 秋津しの
- 「えっ!?」
- 湫さんは強引に私の手を掴むと、大狐や子狐、化け猫たちの間を通り抜け、林の奥へと進んでいく。
- 秋津しの
- 「湫さん、あの子たちに話を聞かないと……」
- 湫
- 「放っておけ。少しすれば飽きてどこかへ行く」
- 秋津しの
- 「そ、そうなんですね。
えっと……じゃあ、私たちは今どこへ向かってるんですか?」
- 尋ねると、湫さんはあからさまにムッとして足を止めた。
- 湫
- 「決まってるだろ。この紅葉の原を抜ければ肝試しが終わる。
キサマ一人だと、遅いし煩いからオレが手伝ってやってるんだ」
- 秋津しの
- 「え……あ、これ肝試しだったんですか!」
- ようやく、白月さんたちを始めとする妖たちの行動に合点が行った。
- 秋津しの
- 「教えてくれてありがとうございます、湫さん。
また、助けてくれたんですね」
- 湫
- 「……っ!」
- 湫さんは一度ギロリと私を睨むと、その後は周囲に睨みを効かせながら
あっという間に林を通り過ぎ、小川まで出る。
- 湫
- 「ふんっ」
- そして、ふてくされたような態度のまま、またどこかへ行ってしまった。