オトメイト『DAIROKU:AYAKASHIMORI』(略称:ダイロク)|ギャラリー
- 秋津しの
- 「では、他に何を教えれば……あ、メールの使い方はわかりますか?」
- 悪虂王
- 「めいる?」
- 秋津しの
- 「端末を介して文章のやり取りができるんです。
からくり文、とでも言うべきか……」
- 悪虂王
- 「酒呑や雪女たちが使っていますね。覚えたら便利でしょうか」
- 秋津しの
- 「えぇ、きっと。やってみましょうか?」
- 悪虂王
- 「はい……」
- 私は悪虂さんの握り締めている端末を覗き込み、手順の説明を始める。
- 秋津しの
- 「パスコードは設定してないんですね」
- 悪虂王
- 「ぱす……?」
- 秋津しの
- 「端末に掛ける鍵のようなものです。
盗み見をするような妖はいないでしょうから、このままでいいと思いますよ」
- 秋津しの
- 「それで、メールですけど、この手紙のアイコン……じゃなくて、
絵が書かれたところに触って――」
- 悪虂王
- 「…………」
- ふと見たら、悪虂さんがものすごく険しい顔をしている。
- 秋津しの
- (うわ……いつにも増して怖い顔……)
- 秋津しの
- 「ど、どうかしましたか?」
- 悪虂王
- 「迂闊に触って酒呑のように壊してしまうのではと思いまして……。
大丈夫でしょうか」
- 秋津しの
- 「割と丈夫なので、普通に使う分には大丈夫だとは思いますよ?」
- 悪虂王
- 「…………」
- 悪虂さんの指が恐る恐る伸ばされ、何度かためらったあと、そおっとメールのアイコンに触れる。
- 秋津しの
- 「ほら、壊れなかったでしょう?」
- 悪虂王
- 「……実は、私はあまり器用ではないのです」
- 悪虂王
- 「絡繰いじりや収集品の修繕は、昔からしていて慣れているのと、
時間をかけることで何とかやれていますが……」
- 秋津しの
- 「じゃあ、メールも時間をかけてやってみましょう。
絡繰の修理よりは難しくないと思います」
- 悪虂王
- 「……わかりました」