- フィーニス
- 「――何やってるのさ、姉さん。
僕はもうとっくに掃除終わったんだけど?」
突然、呆れたような声が響く。
リビングの入口で腕組みをしていたのは、
この写真に写っている男の子が、
そのまま成長した姿の少年。
――私に残された、
たった一人の家族だった。
- フィーニス
- 「はあ、まったく姉さんは……
毎回毎回時間にルーズ過ぎるんだよ」
- フィーニス
- 「もうイレブンジズティーの時間なんだよ?
姉さんのおかげでお茶も楽しめないなんて、最悪にもほどがあるんだけど」
- フィーニス
- 「それとも、何?
僕の淹れたお茶が飲みたくないから、わざとそうやって――」
- カルディア
- 「…………」
- フィーニス
- 「――っ!?」
- フィーニス
- 「ちょ……ね、姉さん……?
なんで泣いてるわけ……!?」
- カルディア
- 「あ……」
- フィーニス
- 「じょ、冗談に決まってるだろ!?
僕もちょっと言い過ぎ――」
- カルディア
- 「あ……ううん、ごめんなさい。
写真を見ていたら、つい」
慌てたフィーニスの瞳が、
私の手元に向けられる。
次の瞬間、私の弟は、
あからさまに胸を撫で下ろした。
- フィーニス
- 「な……なんだよ、人騒がせな……」
- カルディア
- 「ふふ、心配してくれたの?」
- フィーニス
- 「……………はあ?
してないし。
姉さんのバーカ」