針に糸を通して縫う準備を整えてから、
頭の部分をまち針で止めて形作り、意気揚々と縫い始めた。
ルナ
「ん……?」
ルナ
(頭は曲線に沿って縫っていけばいいけれど、
綿を詰めた後に胴体部分をどう縫っていけばいいのかしら……)
丸くなるようにしっかりと綿を詰めたおかげでこのまま縫い続けたくてもなかなか難しい。
カノン
「どうしたの? もうギブアップ?」
ルナ
「そ、そんなことないわ!」
ルナ
(大丈夫。
ワンピースを作っているうちに上達したもの!)
そう自分を奮い立たせ、手元の怪しさには見て見ぬふりをして縫い進める。
……けれど。
カノン
「ねえ、綿が出てきてるよ」
ルナ
「わ、わかっているわよ。んっ……こうして戻して……」
グイグイと、はみ出してきていた綿を押し込み、再び縫い進める。
カノン
「……縫い目もガタガタなんだけど」
ルナ
「こ、これくらい大丈夫でしょう?
同じ色合いで目立たない糸を使っているし」
カノン
「目立つほどじゃなくても、ガタガタなのが見てわかるから言ってるんでしょ。
はぁ……そんな不格好なままで進めるつもり?」
ルナ
「……っ! ここから挽回するわよ!
ガタガタのところはリボンでもつけて隠すわ」
ルナ
「あっ、また……!」
焦れば焦るほど、縫い目の乱れは酷くなっていく。

それでも必死に縫い続けていると、とうとうカノンが特大のため息をついた。
カノン
「はぁ……肝心な部分で進歩がないだなんて、さすがお前だね 」
ルナ
「うっ……」