ジャック
「なら、すみませんが勝たせて頂きます。
――私には、彼女を守る役目がありますから」
ルナ
(ジャック……?)
いつものおどおどとした様子も、自信なさげな気配も、どこにも残っていない。
研ぎ澄まされた殺気に、ざわりと総毛立つ。
そして――
ジャック
「はっ!」
気がついた時には、ジャックの剣先は相手の眉間にぴたりと当てられていた。
ルナ
(……え?)
あまりにも早すぎて、剣筋が見えなかった。
瞬きする暇すら、なかった。
いつの間にか、相手の手から剣がなくなっている。
――多分、ジャックが叩き落としたのだ。
部長
「……っ……」
音が消えた。
風が凪いだ。
時間が止まってしまったかのように誰もが言葉を無くす。